症例選択
適正使用の目安
本剤を投与する症例の選択は慎重に行い、投与直前には必ず臨床検査を実施し、可能な限り、以下の基準を満たしていることを確認してください。
特定の背景を有する患者に関する注意に該当する場合には、回復するまで投与を延期してください。なお、投与を必要とする場合には、頻回の臨床検査を実施するとともに、患者状態を十分観察しながら慎重に投与してください。
単独投与
可能な限り、下記の適正使用基準を満たす症例を治療対象としてください。
ULN:(施設)基準値上限
検査項目 | 適正使用基準 | 特定の背景を有する患者に関する注意※ | ||
---|---|---|---|---|
Performance Status(PS) | PS 0~2 | PS 3 | ||
膵癌、胆道癌 Performance Status(PS) あるいは Karnofsky Performance Status(KPS) |
PS 0 KPS 90~100% |
PS 1~3 KPS 30~80% |
||
骨髄機能 | ヘモグロビン(g/dL) | 9.0以上 | 8.0~9.0未満 | |
白血球数(/mm3) | 3500~12000 | 2000~3500未満、 12000以上 |
||
好中球数(/mm3) | 2000以上 | 1000~2000未満 | ||
血小板数(/mm3) | 10万以上 | 7.5万~10万未満 | ||
肝機能 | 総ビリルビン(mg/dL) | ULN×1.5倍以内 | ULNの1.5倍を超えて3mg/dL未満 | |
AST(IU/L) ALT(IU/L) |
ULN×2.5倍以内 | ULNの2.5倍を超えて150IU/L未満 | ||
腎機能 | クレアチニンクリアランス(mL/min) | 80以上 | 80> ≧60 | 60> ≧30 |
投与開始量 | 初回基準量 | 初回基準量 (必要に応じて1段階減量#) |
原則として1段階以上の減量#(30~40未満は2段階減量#が望ましい) |
投与不可
クレアチニンクリアランス30mL/min未満
投与開始量は、クレアチニンクリアランス(実測値あるいは推定値)だけで定まるものではなく、患者の状態によっては80mL/min以上の症例であっても減量が必要な場合もあります。
クレアチニンクリアランス実測値がない場合は、クレアチニンクリアランス推定値を用いてください。
[Cockcroft-Gault式] クレアチニンクリアランス推定値 (mL/min) |
= |
(140-年齢)×体重(kg) |
72×血清クレアチニン値(mg/dL) | ||
(女性の場合はさらに得られた値を0.85倍にする) |
※:適正使用基準に回復するまで投与延期することが望ましく、本剤の投与を必要とする場合には頻回に検査し、慎重に観察しながら投与してください。
#:ティーエスワンの承認治験においては、最低投与量は40mg/回としておりました。
注:重篤な骨髄抑制のある患者、重篤な腎障害のある患者、重篤な肝障害のある患者には投与しないでください。
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法
臨床検査値及び臨床所見が投与開始基準をすべて満たすことを確認した上で、投与を開始してください。投与開始基準を満たさない場合には、投与開始基準を満たすことを確認するまで、投与開始を延期してください。
検査項目 | 投与開始基準 |
---|---|
白血球数※(/mm3) | 3,000以上 |
好中球数※(/mm3) | 1,500以上 |
血小板数(/mm3) | 10万以上 |
ヘモグロビン(g/dL) | 8.0以上 |
総ビリルビン(mg/dL) | 2.0以下 |
AST/ALT(IU/L) | 100以下 |
クレアチニンクリアランス(Ccr)※※(mL/min) | 50以上 |
食欲不振、悪心、嘔吐、下痢 | グレード1以下注1) |
注1):グレードはCTCAE v4.0 日本語訳JCOG版に基づく。
クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者の本剤の有効性及び安全性は確立しておりません。
クレアチニンクリアランス実測値がない場合は、クレアチニンクリアランス推定値を用いてください。
[Cockcroft-Gault式] クレアチニンクリアランス推定値 (mL/min) |
= |
(140-年齢)×体重(kg) |
72×血清クレアチニン値(mg/dL) | ||
(女性の場合はさらに得られた値を0.85倍にする) |
※:白血球数又は好中球数いずれかを満たしていることを確認してください。
※※:各コース開始時のクレアチニンクリアランスが投与開始前の値から変動した場合も、投与開始基準を満たしている場合は、初回投与量で継続可能です。
注:重篤な骨髄抑制のある患者、重篤な腎障害のある患者、重篤な肝障害のある患者には投与しないでください。
Toi, M. et al.:Lancet Oncol. 2021;2(1):74-84(ティーエスワンの承認時評価資料)
本試験は、試験運営事務局として契約された公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターが大鵬薬品工業株式会社から資金提供を受け、この資金に基づき実施された試験です。
エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するS-1術後療法ランダム化比較第Ⅲ相試験,大鵬薬品社内資料(2022)(ティーエスワンの承認時評価資料)
「7. 用法及び用量に関連する注意」の項をご参照ください。