注意すべき
自覚的副作用とその対応

味覚障害

味覚変化、味覚異常、味覚減退、味覚消失などの味覚障害の報告があります。しかし、その発現機序が明らかでないため、治療法は確立していません。エスワンタイホウの休薬あるいは投与中止によりほとんどの症例では回復・軽快しています。

発現率

ティーエスワンの承認時までの臨床試験、使用成績調査及び市販後臨床試験において、味覚障害に含まれる味覚異常の発現率は下表のとおりでした。承認時までの臨床試験及び使用成績調査での発現率は比較的低率でしたが、市販後臨床試験(胃癌:SPIRITS)での発現率は20%以上でした。

副作用 承認時までの臨床試験 使用成績調査(単独投与+併用投与) 市販後臨床試験(胃癌:SPIRITS)
単独投与
(751例)
CDDP併用投与
(55例)
胃癌
(3808例)
頭頸部癌
(375例)
非小細胞肺癌
(1669例)
単独投与
(150例)
CDDP併用投与
(148例)
味覚異常 41例
(5.5%)
1例
(1.8%)
60例
(1.6%)
4例
(1.1%)
9例
(0.5%)
31例
(20.7%)
47例
(31.8%)

発現時期

胃癌のティーエスワン使用成績調査での初発時期(n=46例)は、1コース(1~6週)、2コース(7~12週)とも投与開始後3週目に多くみられ、初発までの期間の中央値は21日(n=45例)でした。一方、後期臨床第Ⅱ相試験での初発までの期間の中央値は73日(8~476日)(n=35例)でした。

症状

味覚変化、味覚異常、味覚減退、味覚消失、味覚不全など。

処置

多くの症例で休薬、中止により症状は回復・軽快しています。発現機序が明らかでないため、治療法は定かではありません。

転帰

胃癌のティーエスワン使用成績調査において、味覚障害に含まれる味覚異常発現例のうち、回復・軽快した症例は71.7%であり、回復・軽快までの期間の中央値は22日(n=45例)、また後期臨床第Ⅱ相試験での最高グレード発現から消失までの期間の中央値は21日(7~217日)(n=22例)でした。

味覚異常 発現例数 回復・軽快 未回復 不明
胃癌使用成績調査 46例
(1.2%)
71.7% 26.1% 2.2%

(調査票回収時の転帰)