発疹(皮疹)
発疹は、投与開始直後より見られ、2週目で発現が多く見られました。その殆どは投与中止や対症治療により改善しています。しかし、症状が改善しない場合や悪化する場合には、エスワンタイホウの投与を中止するとともに皮膚科医へ紹介してください。
発現率
ティーエスワンの承認時までの臨床試験、使用成績調査及び市販後臨床試験における発疹の発現率は下表のとおりでした。単独投与でもCDDP(シスプラチン)併用投与でも発現率に差はみられませんでした。
副作用 | 承認時までの臨床試験 | 使用成績調査(単独投与+併用投与) | 市販後臨床試験(胃癌:SPIRITS) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
単独投与 (751例) |
CDDP併用投与 (55例) |
胃癌 (3808例) |
頭頸部癌 (375例) |
非小細胞肺癌 (1669例) |
単独投与 (150例) |
CDDP併用投与 (148例) |
|
発疹 | 103例 (13.7%) |
5例 (9.1%) |
321例 (8.4%) |
33例 (8.8%) |
77例 (4.6%) |
28例 (18.7%) |
32例 (21.6%) |
発現時期
胃癌のティーエスワン使用成績調査での初発時期(n=321例)は投与開始後2週目が最も多く、全体の37%を占め、4週以内に全体の76%の発現が見られ、発疹などの皮膚症状の初発までの期間の中央値は13日でした(n=302例)。一方、後期臨床第Ⅱ相試験における初発までの期間の中央値は21日(2-248日)(n=67例)でした。
症状
紅斑、丘疹、膨疹など。
処置
エスワンタイホウの投与を休薬または中止し、対症治療を行います。外用療法として、ステロイド剤、白色ワセリン、ヘパリン類似物質などの塗布を行うとともに、症状に応じて全身療法として、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などの投与を行います。
転帰
胃癌のティーエスワン使用成績調査での発疹発現例(n=321例)のうち、回復・軽快した症例は90.7%であり、発疹などの皮膚症状の回復・軽快までの期間の中央値は15日(n=302例)でした。
また、後期臨床第Ⅱ相試験における最高グレード発現から消失までの期間の中央値は14日(2~254日)(n=63例)でした。
発疹 | 発現例数 | 回復・軽快 | 未回復 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|
使用成績調査 | 胃癌 | 321例 (8.4%) |
90.7% | 9.3% | - |
頭頸部癌 | 33例 (8.8%) |
90.9% | 3.0% | 6.0% | |
非小細胞肺癌 | 77例 (4.6%) |
96.1% | 3.9% | - |
(調査票回収時の転帰)
皮膚科医へ紹介のポイント
以下のような場合には、エスワンタイホウ投与を中止して皮膚科医へ紹介してください。その際、患者さんのエスワンタイホウの治療状況や副作用の発現時期、その治療内容についても連絡してください。
- 中等度以上の症状が発現した場合や痛みがある場合。
- 対症治療を行っても症状が改善しない場合や悪化する場合。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)などの重篤な皮膚障害が発現した場合。